初めての一人暮らし、初めての就職、そして初めての自分名義の口座とカード。当時の私は相当浮かれていました。ワンルームのアパートは、狭いながらも自分のお城。
私は大家族の末っ子です。実家には何もかも揃っていて、私に与えられるのはすべてお下がり。一人暮らしをしたら、自分だけの新しいステキなものを買おうと思っていました。
そんな私の目に飛び込んできたのが電子ピアノ。場所は家電量販店。24万円くらいだったと思います。そのころのお給料は19万程度。家賃は7万円。そんなもの買える身分じゃありません。
でも、そういえば会社で作ったあのカード、上限が25万て書いてなかったっけ?
それはキャッシングの上限だったんですが、その意味がよくわかっていませんでした。算数が苦手で、一般常識にも疎かった私。さっそく24万引き出して、買ってしまいました。当然残高はマイナスに。
親の反対を押し切って始めた一人暮らし。親に泣きつくわけにはいきません。一日一食の節約生活が始まりました…。でもおしゃれもしたい、遊びにも行きたい年頃です。少し口座に戻しては、また借りるの繰り返し。マイナスがなくなるまでには、何年もかかりました。
その電子ピアノは、数年いじってから、狭い部屋では邪魔になって、捨ててしまいました。お金に困ることになった原因だと思うと素直に演奏を楽しむ気持ちにはなれず、見るたびに自分の馬鹿さに腹がたつようになってしまったからです。ピアノには罪はないのに。今思うと本当に無駄なことをしました。
「身の丈に合った生活」という言葉の意味を初めて実感した経験でした。高い授業料でしたが、おかげで今は節約が身についています。